社員紹介・仕事紹介

“For you”の精神で接客し、
2年目で全社年間売上1位に輝いた営業のプロ。

プロローグ

杉本祐介「格好いいなぁ」──洗練されたビジネスパーソンの集団に、杉本は圧倒された。イベント会場見学の際に出会ったアールビバンの社員はみな、スタイリッシュで輝いて見えた。「アールビバンのスタッフは活き活きしていて、格好いいなぁ。自分もここで洗練された営業をやりたい!」。

洗練された営業スタイルに憧れて入社したものの、入社直後の5月に「この仕事には向いていないのでは」と杉本は落ち込んでしまう。カリスマ画家のA氏が来場するイベントで200人以上のお客様に声をかけたのだが、誰一人として杉本の話を聞いてくれなかったのである。洗練された営業どころではない。杉本はトイレに閉じこもり、3時間近く泣き続けた。

出張から戻った杉本は、失敗した原因を探ってみた。

商談テーブルに付いたお客様が、笑顔ではなかったような気がする…。

入社直後のゴールデンウィークに、杉本は静岡に出張することになった。これまで横浜の直営ギャラリーで仕事をしていたのだが、静岡のイベント会場に出向くことになったのである。5日間のイベント期間中、有名画家のA氏が1日だけ来場することになっていた。初めての出張、初めての有名画家との出会い──杉本はワクワクしながら会場入りをした。

新人は杉本を含めて4名いた。朝のミーティングで営業所長は「新人はお客様にお声がけするのが仕事だ。商談テーブルの席に座っていただくところまで、全力でがんばって欲しい」と訓示を述べた。

「誰が一番、多くのお客様に座っていただくことができるか。競争しよう」。新人同士で勝負をした。「着席していただくだけというのは簡単だな。最終日には1位になれるかも」と、杉本は気分良く初日を終えた。ところが2日目の終わりにその日を振り返った時、「何かが違う」と違和感を覚える。「席に着いたお客様が笑顔ではなかったような記憶があるのだけれど、気のせいだろうか…」。

「こんな簡単なことがなぜできないのだろう」──トイレの中で泣き続けた。

3日目は、A氏が来場した。A氏目当ての来場者で会場はごった返している。杉本は昨日感じた違和感の原因究明をする暇もなく、手当りしだいに声をかけた。200人以上に声をかけたのだが、「絵を見たいの。黙っていてくれないかしら」 「A氏が目の前にいるのに、なぜあなたと話をしなければいけないの?」等、ことごとく断られる。何人かは商談テーブルに座ってくれたものの、明らかに不機嫌な顔をしていた。昨日の記憶は間違いではなかった。

杉本は自分を鼓舞しながら、声をかけ続けた。「学生時代、アルバイトで数々の成功体験をしてきたじゃないか。杉本がイベントに出ると成功するから、日給3万円で来て欲しいとも言われた。その自分が、商談するわけでなく、席に着いていただくだけの仕事がなぜできない?」。

会場内の混乱が一段落した頃、杉本はトイレに行くことにした。トイレのドアを閉めた途端、目から大粒の涙が溢れてきた。「商談テーブルに座っていただくだけの簡単な仕事が、なぜできないんだろう。アルバイト時代はもっと大変なことだって乗り越えてきたのに。自分はこの仕事に向いていないのかもしれない」。悔し涙はどうやっても止まらなかった。

周囲の優しさに触れ、仲間の存在を思い知る。でも、悔しい気持ちは収まらない!

3時間経ってトイレから出てきた杉本は、会場に戻り営業所長を探した。「会場から離れた理由を報告しなければ」。厳しいと怖れられている人だから、「さぼるヤツは必要ない。帰れ!」と怒鳴られると思いながら営業所長のそばに近付く。真っ赤な目をした杉本の姿を見た営業所長は「事務所に戻っていろ」と言うだけだった。「言葉は悪いが不器用な優しさのある人だなぁ」と、杉本は温かい気持ちになった。

終業後、グループリーダーから「途中でいなくなったけど、どうした?」と呼び止められた。何か言おうとグループリーダーの顔を正視したところ、「顔を見たら、予想がついた。最初は誰もがうまくいかないものだ。周囲がフォローするから大丈夫、がんばっていこう」。慰めの言葉をたくさんかけられた。

夕食は新人だけで店に入った。「3時間も泣いていたよ。できない自分が悔しくて」と打ち明けた。みんなも辛い気持ちでいたらしく、「自分もうまくいかなくて悩んでいる。お前だけじゃないよ」と、口々に慰めてくれた。先輩や仲間の優しさに触れた杉本は「一人で仕事をしているわけじゃない。仲間がいるんだ」と思い知る。その一方で、「これじゃあ、傷のなめ合いだよな。悔しいなぁ、こんな会話は二度とごめんだ」という思いも去来していた。

翌日はまるで仕事にならなかった。そのまま静岡の仕事は終了する。

“お客様のために”勧めているという気持ちを持つようになってから、売上が好調に。

横浜の直営ギャラリーに戻るまで、数日の休みが与えられていた。休み中、杉本はビジネス本を読みあさった。『営業の基本』や『できる営業の理念』を述べた、営業に関する書籍を読み進めていくうちに、自分に足りなかったモノが見えてくる。「お客様のために、という基本部分が抜けていたから失敗したんだ」。自分が成功することばかり考えていた──静岡での仕事ぶりを振り返り、そう悟った。営業職である以上、売上を伸ばしたいと考えるのは当然のことだ。でも、そこに『お客様のために』という核がなければ、相手は確実に逃げていく。“For you”の気持ちを持って『お客様に喜んでいただくこと』を、杉本は誓った。

それから数日後、初めてオーダーを取ることに成功する。お客様とのファーストコンタクトからわずか1時間半で、2枚の絵画を買ってもらうことができたのだ。

杉本はこの年、全新入社員の中で売上トップの座を射止める。さらにその翌年には、年間売上全社員1位という快挙も達成。約250人の中のトップである。“For you”の精神でお客様に接することで、杉本は殻を破ることができたのだ。

エピローグ

杉本祐介社長賞を2年連続して受賞するほど営業を究めてきた杉本は、「お客様の笑顔を見ると、営業冥利に尽きる」と語る。「絵を観に来ただけで買う気などなかったお客様が、絵を買って笑顔になる。このHappyな笑顔は自分が介在していなければなかったものだと思うと、アールビバンの営業職に就いて良かったと心底思います」。

現在、杉本は人事の仕事を任されている。「今の仕事も“For you”という考え方は同じです」。採用の仕事に関わる時は、応募学生にとって良き就職活動となるようにという意識でいる。社員研修の仕事であれば、社員のためになるように。「自分に会ったことで新しいHappyが生まれれば、この上なく幸せです」。