ARTVIVANT:アールビバン

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キャッチ

キャッチ

西日本のとある都市。ショッピングセンターで開いた小さな展示会。そこに、一人の主婦らしきお客様が来場された。マイバッグから青々とした葉と、白い果肉が覗く。大根だ。地下での買い物を済ませ、家族の待つ家に帰るところなのだろう。変らない日常の風景。そこにふと、色彩豊かなものが飛び込む。彼女の日常生活において、おそらく、感性が刺激されるものにはほとんど出会わないだろう。失礼かも知れないが、家事をこなし、時にパートに出て家計を支える主婦に、感性を養う時間はほとんどない。と、思っていた。

「なにこれ?すごく可愛いわね。絵なの?」と感想を話してくれた。少し話を聞いてみる。すると、とても感性を大切にしながら生活している人だと分かった。。

「玄関に花を飾っているの。その花を一週間や二週間おきに変えるんだけど、それに気が付かないのよ。娘も、夫も。黄色から赤色に変っているのにね。」「それに便座マットも、お茶椀も、箸一本にしたって変えるのは私なんだけど。それにも関心がないみたい。だから私が好きなものを買って、それが愉しみにもなっているの。」。

どうやらこの人には自分の感性に基づく価値感がある。しかも日常生活の些細な変化を自分の中で愉しんでいる。主婦に絵なんて分からないだろう、と一瞬でも考えた自分を恥じた。

「家という空間に愛着もあるし、そこに何を置き、飾るかの価値感を大切にしているの。家のこともやっているし、パートで働いてお金を稼いでいる私にとって、それはご褒美みたいなものなのかな。」

もし花や消耗品以外の「ご褒美」が家の中にあったら、この人の日常生活はどうなるだろうか。この人は絵を見て、純粋に綺麗だと感じ、感動している。感性を刺激されているのは間違いないのだろう。

大切なあなたの家、その空間に絵を飾ったらどうですか? 迷いもなく、そう素直に提案した。

「そうね、残っていくものがあってもいいかもね。お花や消耗品は残らないもの。自分へのご褒美として。パートに1日多く行けばいいんだから。」

後日再び来場された。「やっとね、絵を家に飾るようになってからね、気が付いてくれるようになったの。花を変えたりしたときに。」「それでね、それまで絵を見るっていう習慣なんてなかったんだけど、わが家は。でもみんなで一緒に絵を見に行ったりするようになったの!」

絵が家にあるからと言って、その人の人生が劇的に変わる事はない。ただ、「もしかしたら、あの時絵を買ったから」家族の価値感が変わるケースも、あるのかもしれない。

絵によって、日常生活に新しい価値が生まれる。

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