ARTVIVANT:アールビバン

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キャッチ

キャッチ

絵を買う心理には、大きく分けて2パターンある。一つは豊かな暮らしのため、絵を求めるもの。そしてもう一つは何らかの意思決定に際し、絵を買うという行為を付随させるというもの。後者は、その「買う」という行為自体が大きな意味を持つ。それがやがて自信や、あるいは存在意義として、精神的支柱のような存在となるのではないだろうか。

人が絵を買う瞬間。
人はその瞬間を、人生における大きな決断として位置づける。絵を持つ前と後。その起点をターニングポイントとして、今までの自分とは違う自分を模索していく。

ある一人の女性と出会った。まだ20歳そこそこだ。
大きな買い物も、それまでしたことはなかった様子である。絵についてもそれほど興味があるわけではなく、感性の赴くまま展示会に立ち寄ったようだ。
話をするうちに、なんとなく、心の中に秘めるものがあるのではないか、と思った。
しかしその時は核心に迫ることができずにいた。

結局、話はまとまり、一度親の確認を取ってみたいとのこと。
こうしたケースの場合、親御さんからの反対に遭い、破断になることも少なくない。
自分の大切な子どもが、それまで買ったこともないような、高い買い物をしようとしている。心配するのも無理はない。

後日、電話が鳴った。「母に怒られました。」
受話器から聞こえてくる、元気のない声。予感は的中した。絵を買うのやめたい?と聞くと、「ううん、そうじゃないんです。実はわたし、小さいころから母に反発すると、そのたびに叩かれていて・・・怖くて。叩かれるのが怖いし、お母さんも怖くて・・。でも自分を変えたいとずっと思っていたんです。怒られるのがイヤで反発できない、そんな自分を。」そっか、そうなんだね。「どうしたら変れるのか考えて、考えて。それで、もしかしたらこの絵を買ったら変れるんじゃないかって思って。」

その後、購入した絵とともに、彼女は一人暮らしを始めた。絵を飾り、自分は確かにここにいると実感した。これで私は変れる。ただ、しばらくすると途端にさみしさがこみ上げた。離れてみて初めて分かる、母の気持ち。なぜ自分を心配していたのかわかった。母も同様に、娘が自分の元から離れて初めて理解した。娘の存在の大きさ、生きていることのありがたさに。

絵は、人の心をつなぐ絆となる。

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